山の鉱山街 ドレンブリク

Drenbrik
人口:約1,200人
主な機能:鉱山採掘、鉱石精製、鍛冶
雰囲気・景観
ドレンブリクは、切り立った山腹に沿って棚状に広がる鉱山村である。
石造りの作業場、木造の住居、鉱石倉庫が狭い段丘に密集し、それぞれを急な階段と坂道が結んでいる。上段には坑道と選鉱場、中段には住居と工房、下段には荷車置き場と市場が置かれている。
坑道内では青白い魔術灯が使われているが、村そのものは煤煙と粉塵に覆われている。豊かな鉱石を産出する一方、住民の生活は貧しく、建物や採掘設備には古いものが多い。
地理・環境
カーラズ公爵領北東部の山岳地帯に位置する。サイレインとは山道で結ばれ、精製された鉱石はエンウッドを経由して王都や北部諸領へ運ばれる。
山腹には平地がほとんどなく、食料の多くを村外から購入している。坑木や燃料を確保するため南方森林の伐採が進められており、ノランディスとの対立を引き起こしている。
坑道には可燃性の地下気が発生する区画があるため、松明やランタンではなく、サイレインで製作された魔術灯が使われる。ただし、すべての坑道へ設置されているわけではない。
歴史
ドレンブリクの鉱山は、王国成立以前にファイアハート族のドワーフが開いた古い坑道を起源とする。ドワーフは銀と青鉄を採掘していたが、地下深部で未知の岩脈へ到達した後、一部の坑道を封鎖して撤退した。
B.C.280年の「霜砕きの戦い」以後、カーラズ家が山岳地帯を支配すると、人間の鉱夫による再開発が始まった。A.D.124年の分裂の抗争では軍需増大のため採掘が拡張され、危険な深部坑道も開かれた。
同年のグリムデール大災厄後には、故郷を失った少数のファイアハート族が移住し、採掘と精錬技術の再整備に関わった。現在も村にはドワーフの職人と、その技術を継承した人間が暮らしている。
産業と交易
主な産物は魔鉱石、銀、青鉄であり、採掘、選鉱、精錬、鍛冶に住民の多くが従事している。
地下深部では、アンダーダーク由来の魔成岩「紅黒石」も発見されている。紅黒石は周囲の魔力を吸収・保持する性質を持つが、危険物として公爵家によって採掘と流通を規制されている。
主要な交易品は以下のとおり。
- 魔鉱石、銀、青鉄
- 鉄製農具、坑道工具
- 研究用の鉱石標本
- 少量の紅黒石
- 鉱山用の木材と食料
定期的に開かれる「山鳴り市」には、エンウッドやサイレインから商人、魔術師、鍛冶師が集まる。その一方で、紅黒石の密掘りと横流しも行われている。
●紅黒石(ブラッドオニキス)
紅黒石は、アンダーダーク由来の魔成岩。
地下深部の岩石が、高い圧力と地熱、長期間にわたる魔力の浸透によって変質したものである。黒い岩肌の内部に暗赤色の筋が走り、割った断面が血管のように見えることから「ブラッドオニキス」と呼ばれる。
名称にオニキスとあるが、宝石のオニキスとは異なり、金属でもない。ドレンブリクでは「紅黒石」が正式な呼称で、「ブラッドオニキス」は魔術師や遺物商人が用いる交易名です。
ドレンブリクの鉱脈は、アンダーダーク深部から地上近くまで伸びた岩脈の先端にあたると考えられている。
古いドワーフ坑道が不自然な位置で封鎖されているのも、ファイアハート族がこの岩脈へ到達したためです。
紅黒石はデーモンやデヴィルに由来する邪悪な物質ではない。ただし、周囲の魔力を取り込み、内部へ留める性質があるため、加工次第では以下の用途に利用できます。
- 魔法具へ魔力を定着させる基材
- 召喚陣や結界の術式を維持する媒体
- 呪文や魔術実験で使用する触媒
- 周辺に残った魔力を採取・分析する研究器具
- 危険な魔力や呪いを一時的に封じる容器
一方、精製されていない紅黒石は、取り込んだ魔力を不安定な形で放出することがあるため、採掘と輸送には危険が伴います。異なる魔法が混ざった場合、発熱、変色、幻光、呪文の誤作動などを引き起こします。
公爵家は紅黒石を危険な魔術資源として扱い、発見した鉱石の届け出と引き渡しを義務づけています。表向きには採掘禁止ですが、実際には公爵家や秘儀監視団が秘密裏に回収している可能性があります。
また、サイレインの研究者、学院革新派、ウォーロック、遺物商人などが高値で買い取るため、ドレンブリクでは密掘りと横流しが絶えません。
統治と権力構造
鉱山の所有権はカーラズ公爵家にあり、村には公爵家から任命された鉱山代官が置かれている。採掘権はエンウッドの商会や請負人へ与えられ、利益の多くは税、採掘料、輸送費として村外へ流出する。
鉱夫や職人は寄合を持つが、採掘量や坑道の閉鎖を独自に決める権限はない。事故が起きても十分な補償を受けられないことがあり、鉱山代官と労働者の間には強い不満が存在する。
ドレンブリク出身の騎士や傭兵は、公爵直属の護衛組織「鉄の環」に多く採用されている。
代表的な人物は以下の二人である。
- ヨラン・スパークス
偏屈な老魔鉱技師。古いドワーフ語を解し、封鎖坑道に刻まれた警告文を読むことができる。 - ケルナ・フレイ
言霊の館に勤める書記。鉱山事故や紅黒石の採掘記録の一部を、公爵家へ渡さず隠していると噂される。
宗教
聖カスバート信仰が強く、村の礼拝堂は礼拝だけでなく、労働契約、事故記録、死者確認、鉱山内の規則を管理する場所でもある。
一方、鉱夫の間には「石を穿つ声」と呼ばれる坑道の精霊を畏れる習俗が残る。新しい坑道を開く前には、入口へ酒と塩を置き、山の内側へ立ち入る許しを求める。
ファイアハート族の一部は、封鎖坑道の奥に祖先の炉が残されていると信じている。聖カスバート教会はこれを鉱夫の迷信として黙認しているが、紅黒石と結びついた儀式については厳しく警戒している。
