エルンヴェルト大平原

Ernwelt Great Plain
人間勢力と亜人種勢力が入り交じる広大な草原地帯
●雰囲気・景観
エルンヴェルト大平原は、アストランド王国北東部に広がる巨大な草原地帯である。
遠くまで見渡せる草地が続く一方、完全な平坦地ではなく、緩やかな丘陵、浅い谷、低地、小さな河川や池などが入り交じる。
西部では人間の農地や集落、街道、砦などを見ることができるが、東へ進むにつれて人工物は急速に少なくなる。
街道を離れれば背の高い草地や低木地が広がり、
「どこまでが人間の土地なのか」
が明確ではなくなっていく。
平原にはバグベア、ホブゴブリン、ノール、リザードフォークなどの集団も暮らしており、人間だけの土地ではない。
そのためエルンヴェルトは、単純な王国領土というより、
複数の勢力がそれぞれの生活圏を持ちながら接触している地域
として存在している。
●地理・環境
エルンヴェルト大平原は、バクレイ侯爵領の東方に広がっている。
バクレイ侯爵領が実際に支配・防衛しているのは、おおむね大平原西部の3分の1程度である。
西端付近は緩やかな丘陵地となっており、そこから東へ向かうにつれて広大な草原が開けていく。
平原内部には、
草原
低い丘陵
浅い谷
低木地
小河川
泉
池
葦の生える湿地
季節的にぬかるむ低地
などが点在する。
ただし、平原全体が巨大な湿地帯というわけではなく、大部分は徒歩や騎馬で移動可能な草原である。
●地域区分
エルンヴェルト大平原には明確な国境線が引かれているわけではない。
西から東へ進むにつれて、人間による支配が段階的に弱くなっていく。
おおむね、
エルンゲート
↓
農地・人間の集落・宿駅
↓
小砦・監視塔
↓
人間が利用する草原
↓
人間と亜人種双方が出入りする支配の曖昧な地域
↓
亜人種勢力の生活圏
という変化を見せる。
したがって「ここから先は敵地」という一本の境界線は存在しない。
人間側も、街道や砦の周辺では強い支配力を持つ一方、街道から数日離れただけでほとんど統治が及ばない場所も存在する。
●気候・水系
気候は、アストランド北部としては比較的温暖で湿潤。
現実世界でいえば千葉県付近に近い気候だが、全体としてやや標高が高く、緩やかな起伏を持つ。
冬季も北部山岳地域ほど厳しくない。
大河が一本平原を支配しているわけではなく、
小さな河川
泉
地下水
池
季節的な水場
が各地に存在する。
こうした水場の周辺には葦原や湿った草地が形成されることもあり、リザードフォークなど水辺を好む種族の生活圏となっている。
●主要な街道・拠点
エルンヴェルト大平原には、アストランド北東部へ向かう重要な陸路が通っている。
山岳地帯によって通行可能な経路が制限されるため、
シエラ辺境伯領
ブレスウェイト方面
ウェイゼルネン辺境伯領
王都アスティリシア方面へ続く交通網
へつながる街道の一部が平原を通過する。
西側の重要拠点がハルデンである。
ハルデンは平原防衛の後方兵站都市として、食料、武器、矢弾、馬、荷車、傭兵、冒険者などを東へ送り出す。
さらに平原西部にはエルンゲートが存在する。
エルンゲートは、人間側の安定した支配地域から大平原へ踏み出す入口にあたる城塞町であり、前線へ向かう旅人や兵士にとって重要な補給・準備地点となっている。
その先には、小規模な砦や監視塔、宿駅、農業集落などが点在する。
●主要な種族・勢力
■ 人間
主に大平原西部を支配する。
ただし支配は街道、都市、集落、砦などを中心としたものであり、平原全域を完全に掌握しているわけではない。
バクレイ侯爵家は、西部地域の防衛と街道維持を重要な責務としている。
■ バグベア
大平原中央部における最大規模の亜人種勢力。
単一国家を形成しているわけではなく、複数の氏族や戦士集団に分かれている。
草原、低木地、森の縁、丘陵、浅い谷などを生活圏とする。
狩猟地、祖先の墓地、季節的な野営地などを持ち、人間側が「誰も住んでいない土地」と考えている場所を自分たちの領域と認識している場合も多い。
■ ホブゴブリン
バグベアより人口規模は小さいが、組織力に優れる。
丘陵や防御に適した高地などに砦状の集落を築く。
軍事組織、築城、兵站、物資管理などを得意としており、バグベア勢力と協力することもある。
両者は対等ではなく、バグベア側がやや優位に立つ傾向がある。
バグベアが武勇や威圧、強力な指導者を重視する一方、ホブゴブリンは組織、補給、築城、規律を担うことが多い。
■ ノール
少数。
大平原外縁部や比較的乾燥した草原などを移動しながら暮らす。
バグベアやホブゴブリンとは恒常的な同盟関係でも全面的な敵対関係でもなく、資源や狩場を巡って小競り合いを起こすことがある。
■ リザードフォーク
泉、池、葦原、流れの緩い河川などに小規模な集落を作る。
人間に対して比較的友好的、あるいは中立的な場合が多い。
平原で遭難した人間に水や助けを与えることもある。
ただし、自分たちの聖なる水場、産卵地、漁場などへの侵入には敏感である。
彼らの態度は、
「客人には水を与える。侵入者は追い払う。奪う者には武器を向ける。」
という言葉に象徴される。
人間との正式な軍事同盟を結んでいるわけではない。
●人間側の統治と防衛
バクレイ侯爵家は、エルンヴェルト大平原を完全に征服することを目標としているわけではない。
現在の基本方針は、
人間側の支配地域を維持し、街道と集落を守り、亜人種勢力の大規模侵攻を防ぐこと
にある。
平原に存在する勢力を不用意に排除すると、そこへさらに危険な集団が入り込む可能性があるため、
「平原には空白を作るな」
という現実的な考え方も存在する。
現在のバクレイ侯爵領は、平原からの脅威を完全に除去しているのではなく、
ぎりぎりのところで抑え込んでいる
状態に近い。
●軍事・危険
平原で最も大きな危険は、バグベアやホブゴブリンの戦士集団による襲撃である。
小規模な略奪や偵察は珍しくなく、ときには複数の集団がまとまって人間側の集落や砦を攻撃する。
バグベア勢力がゴブリンなどを利用して襲撃を行わせる場合もある。
そのため人間側は、
- 街道
- 小砦
- 監視塔
- 農村
- 宿駅
を連結させることで支配地域を維持している。
有事にはハルデンから物資と増援が送られ、エルンゲートを経由して前線へ展開する。
一方で、街道を大きく外れた場所では人間側の救援を期待できないことも多い。
●地域としての位置づけ
エルンヴェルト大平原は、
「まだ征服されていない辺境」
であると同時に、
「人間も亜人種もすでに長く暮らしている土地」
でもある。
人間側から見れば開拓・防衛の最前線であり、バグベアなどから見れば祖先から利用してきた狩猟地や生活圏である。
したがって、この地域の争いは単純な侵略者と防衛者の関係だけでは説明できない。
街道の安全、農地の拡大、狩場、水場、墓地、砦の建設など、小さな土地利用の衝突が積み重なり、平原全体の緊張を生み出している。
エルンヴェルト大平原とは、
人間の秩序が終わる場所ではなく、徐々に薄くなっていく場所
なのである。

