ストーンホルム

Stoneholm

雰囲気・景観

ストーンホルムは、石によって秩序を形にした都市である。
城壁、街路、建物の多くが切り出した石で築かれ、木造建築は意図的に抑えられている。

街全体は堅牢で、どこか重苦しい静けさを湛えている。
活気はあるが、軽やかさはない。
笑い声よりも、鎧の擦れる音、靴音、鐘の響きが街の音として支配的である。

都市中央部にそびえる伯爵の居城は、都市そのものを押さえつけるかのように威圧的で、
城を見上げることは、そのままヴァンデーゲン伯の権威を意識する行為となる。

地理・環境

ストーンホルムは、フェルディナから北へ続く主要街道から途中で東、
山に抱かれるかのように存在する強固な都市である。
グリムデール、グリムバロウ、北西の不安定地域へ向かう最後の安定都市である。

周囲はなだらかな丘陵と石の多い地盤に囲まれ、
天然の防御地形と人工城壁が組み合わさることで、攻めにくく守りやすい立地を形成している。

近隣には大河や湖はなく、水は地下水路と上流の管理された水源に依存しているため、
都市運営の最重要事項となっている。

歴史

ストーンホルムは、ヴァンデーゲン家がこの地を治める以前から、
軍事拠点として築かれた石砦を起源とする都市である。

当初は辺境防衛のための城塞都市であったが、
交易路の整備とともに人が集まり、徐々に行政と宗教の中心地へと発展した。

グリムデールの厄災以降、
この都市は「崩壊を食い止める側の最後の柱」として役割を変えていく。

災厄以後、城壁は強化され、騎士団は常備軍化され、
法と秩序がこれまで以上に厳格に運用されるようになった。

街区構成


城塞・居城区
伯爵の居城と上級騎士、高位行政官の居住区。
最も厳重に警備されている。

行政・宗教区
法廷、神殿、記録院が集中する区域。
市民にとっては最も「近寄りがたい」場所。

市街・職人区
商人、職人、一般市民が暮らす区域。
石造建築が多く、整然としている。

軍営・騎士団区
常設軍の訓練場と兵舎が置かれる。
城壁に近く、即応性が重視される。

城外区
旅人、冒険者、調査団が滞在する区域。
監視対象でもあり、治安は不安定。

統治者

領主家:ヴァンデーゲン家

ヴァンデーゲン家は、
ストーンホルムおよび周辺地域を治める辺境伯家であり、
「秩序を崩さず、崩壊に踏み込まない」ことを最優先にしてきた家系である。

派手な英雄譚や侵略史を持つ家ではなく、
むしろ災厄の時代を生き延びることに長けた家として知られている。

家風・統治姿勢

ヴァンデーゲン家の統治哲学は一言で言えば、

「理想は掲げるが、現実から目を逸らさない」

である。

  • 無理な開拓や征服は行わない
  • 危険地域には深入りしない
  • しかし放置もしない

という、慎重かつ消極的に見える姿勢を一貫して取ってきた。

この姿勢は、

  • グリムデール災厄後の混乱
  • 周辺地域の魔法汚染
  • 不安定な宗教勢力

を考えれば、結果として領地を守る判断だったとも言える。

宗教との距離感

ヴァンデーゲン家は、
特定の宗教に完全に肩入れしない家系である。

  • 表向きはハイローニアスを尊重
  • 実務面では聖カスバート派を排除しない
  • 他宗派を即座に弾圧することは少ない

これは信仰心の薄さというより、

「宗教が統治を支配する状態を避けたい」

という家訓に近い考え方によるものだとされる。

宗教

ストーンホルムにおける宗教勢力の主導権は、
ハイローニアス信仰が明確に第一位に位置している。

ハイローニアス信仰(主流)

ハイローニアスは、
騎士道・名誉・正義・誓約を司る神として、
ヴァンデーゲン伯の統治理念と強く結びついている。

  • 伯爵直属の騎士団の多くがハイローニアス信仰者
  • 城塞内には大聖堂級の神殿が存在
  • 「正義の名のもとに秩序を守る」思想が都市の倫理規範となっている

ハイローニアス派は、
表向きは理想と高潔さを重んじる宗教であり、
都市の象徴として市民からの支持も厚い。

ただしその理想はしばしば現実と乖離しており、
「正義とは誰が決めるのか」という疑念を内包している。

聖カスバート信仰(強硬・実務派)

聖カスバート派は、勢力としては第二位だが、
実務・監視・圧力という点では極めて強い影響力を持つ。

  • 法廷・取調・記録管理に深く関与
  • 異端審問的な活動を水面下で継続
  • 冒険者、調査団、外部宗派への監視を主導

彼らはハイローニアス派を公然と否定はしないが、
「理想は現実を守れない」という立場から、
より強硬で即物的な秩序維持を主張する。

特に近年は、

  • グリムデール研究
  • ウンルーエ大森林調査
  • 禁書・手記・異端写本

といった分野に対し、露骨な圧力をかけ始めている。

両派の関係性

表向き、両派は協調関係にある。

ハイローニアス:理想と象徴

聖カスバート:監視と実務

という分業が成立しているように見える。

しかし実際には、

  • 聖カスバート派は、ハイローニアス派の「甘さ」を内心で軽蔑している
  • ハイローニアス派は、聖カスバート派の「やり方」を危険視している

という、静かな緊張関係が続いている。

ヴァンデーゲン伯は、この二つを意図的に並立させることで、
宗教勢力が一枚岩になるのを防いでいる節もある。

その他宗派

  • ペイロア派:市民層には存在するが、発言力は弱い
  • 知識系・自然系信仰:城外区や学術層に点在
  • 明確な異端:存在は把握されているが、公にされない

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です