ミュルム村

Myrm

雰囲気・景観

ミュルムは、常に薄い霧に包まれた村である。
霧は濃淡を変えながら村の周囲に漂い、朝夕の区別すら曖昧にする。家屋は低く、屋根は苔と湿気に覆われ、道は何度も踏み直された形跡があるにもかかわらず、なぜか「初めて通る場所」のような違和感を覚えさせる。

村の中心に明確な広場はなく、建物同士の距離も一定していない。
訪問者は、少し目を離しただけで道順や建物の配置を思い違えることがあり、滞在が長引くほど、風景が「ぼやけていく」感覚に囚われる。

地理・環境

ミュルムはヴァンデーゲン辺境伯領北方、湖沼と湿地が点在する低地に位置する。
周囲の地形は比較的単純であるにもかかわらず、村に至る道はしばしば迷いやすく、地図通りに進んだはずの旅人が別方向から村に辿り着いたという報告もある。

村の外縁には一年を通して霧が滞留しており、一定の距離を超えると方向感覚が失われやすい。
この霧は自然現象であると同時に、何らかの魔的影響を帯びていると考えられている。

土壌は湿り気が強く、作物は限られるが、霧と共生する薬草や菌類が多く自生する。

歴史

ミュルムは、グリムデールの厄災以後、周辺地域から流れ着いた人々が自然発生的に定住した集落である。
正確な建村年や初期の住民構成は記録に残っておらず、村自身も過去を詳細に語ろうとはしない。

災厄の後、各地で「記憶に関わる異変」が報告される中、ミュルム周辺では比較的早い段階から霧と幻覚、軽度の記憶混濁が確認されていた。
しかし、直接的な被害が少なかったため、長らく本格的な調査対象からは外されてきた経緯がある。

人口

人口:不明
(戸籍制度・住民登録が事実上機能していない)

定住者と一時滞在者の区別が曖昧

失踪者と転出者の記録が混在している

村人の多くは、自分が「いつからミュルムに住んでいるのか」を正確に覚えていない。

産業

霧地帯で育つ薬草の採取と調合

外部者向けの案内人稼業

霊的現象に対する簡易的な対処・護符作成

信仰・精神文化

ミュルムでは特定の大神殿は存在せず、
村をまとめるのは「夢歩きの精霊」と契約したとされる巫女である。
外部宗教(ペイロア、聖カスバート等)との関係は極めて希薄である。

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