ハル=ラヒ

Har-Lahi
雰囲気・景観
外界の者から見れば、それは単なる深い森の一部に過ぎないが、
一歩踏み込めば、そこには「人の気配が消えきらない」違和感が漂っている。
建物らしい建物はほとんど存在せず、
古木の根元、浅い斜面、岩陰に沿って、
半地下の小屋や仮設の住処が点在するように存在している。
道はあるが、常に同じ形ではない。
踏み跡は森に飲み込まれ、
昨日あった小道が、今日は消えていることも珍しくない。
夜、灯りはほとんど見えない。
焚き火は短く、低く、
その光は「集うため」ではなく、生きていることを確かめるために使われる。
地理・環境
ラヒ領域の最外周、
アーレン辺境伯領と森の民の領域が溶け合う緩衝地帯に位置する。
標高はおおよそ 700〜1000m。
緯度は25〜30度だが、
森と地形の影響により、暑くも寒くもない安定した気候が保たれている。
地形は緩やかな丘陵と浅い湿地、小川が入り組み、
明確な境界線や見通しの良い場所はほとんど存在しない。
植生は常緑広葉樹を主体とした混交林で、
下草・シダ・苔が厚く、足音は自然に吸われる。
歴史
■ 外縁としての成立
ハル=ラヒは「村」として建設された場所ではない。
森の民(太陽の子達)が、外界と接触せざるを得ない状況に対応するため、
必要に応じて生まれた滞在域が積み重なった結果である。
■ 大遠征期(12年前)
アーレン辺境伯領による森の民殲滅遠征の際、
この外縁域は偵察・通過・追撃の舞台となった。
多くの仮設拠点が作られ、
同時に、森の民側の見張り・罠・迷い道も強化された。
■ 遠征後
遠征が失敗に終わった後も、
ハル=ラヒは放棄されなかった。
むしろ、
- 森に帰れない者
- 外界に戻れない者
- どちらにも属さなくなった者
が流れ着き、
「境界に留まる人々の場所」として固定化していく。
産業と交易
農業はほとんど存在しない。
生活は狩猟・採集・加工に依存している。
主な取引対象は以下の通り。
- 薬草
- 獣皮
- 簡易武器・罠
- 情報
- 森を通るための案内
金銭は使われるが価値は低く、
信頼と行動が最大の通貨である。
定期市場は存在せず、
取引は人と人の間で静かに行われる。
統治と権力構造
名目上の領有権は
アーレン辺境伯領に含まれるが、
実態としては 完全な統治外区域である。
意思決定は、
- 見張り役
- 年長者
- ドルイド
の合議によって行われる。
法律や成文規則はなく、
慣習と「森に害をなさないこと」が唯一の基準である。
宗教
森そのものが信仰対象であり、
特定の神殿や聖職制度は存在しないが、
オーバド・ハイ、アローナが信仰されることもある。
小さな祠やは点在するが、
公的な礼拝や集会は行われない。
外界の宗教、特に聖カスバート教会は、
この地を異端視しており、
巡察が行われることもあるが、定着には至っていない。

