ヴァルドレン腐海

Valdren Salt Sea
雰囲気・景観



ヴァルドレン腐海は、
腐臭に満ちた死の海ではない。
海は浅く、
水は澄み、
白い砂地が遠くまで透けて見える。
波はほとんど立たず、
海面は鏡のように静かで、
昼間であれば、
一見するとただの穏やかな浅海に見える。
しかし、
水面下には無数の影がある。
砂に半ば埋もれ、
あるいは浅い水に横たわり、
人の形を保ったまま眠る死体たち。
地理と環境
ジェゼム伯爵領南方沖、
複数の湾と浅海が連なる広大な海域。
- 水深:極めて浅い(徒歩でも踏み入れる場所がある)
- 潮流:弱く、滞留しやすい
- 海底:白砂・塩結晶・沈殿物
外洋とは繋がっているが、航路は限られ、視界は不安定。
多くの湾では、
- 浅瀬が広がり
- 船は沖合で止まる
- 小舟での接近が必要
となる。
カルゼラ湾南部は、
この腐海へと接続する前縁海域にあたる。
歴史的背景
ヴァルドレン腐海は、
グリムデールの厄災以降に形成された。
厄災によって発生した遺体が、河の流れと潮流によってこの浅海域へ集められた。
この海域は、
- 高い塩分濃度
- 強い日照
- 弱い水流
という条件が重なり、
遺体は腐敗せず、塩と乾燥によって固定化された。
宗教
聖カスバート正統教会は、この海域を「忌むべき場所」として扱う。
一方で、
港湾労働者・船乗り・密輸者の間では、
- 海に祈る古い信仰
- 名を持たぬ“塩の女神”への私的な祈り
が今も残っている。
それは救済を求める信仰ではなく、
眠っているものを起こさないための祈りである。

