フェルディナ

Ferdina
雰囲気・景観
フェルディナは、湿地帯と肥沃な農地が広がるグリューネフェルト地方の中心に築かれた、
開けていて明るいが、どこか人工的な秩序を感じさせる都市である。
街の周囲には広大な農地が広がり、用水路と堤防が碁盤の目のように整備されている。
湿地を干拓した土地も多く、木製の水門、石造りの導水路、低い堤が街の景観の一部となっている。
中心部には石造りの市街と領主の館があり、
周縁部に向かうにつれて穀物倉、家畜囲い、加工場が増えていく。
全体として 軍事都市ではなく、管理と生産の都市 という印象が強い。
地理・環境
位置:
フェルディナは、枯れ川が終わり、再び水量を取り戻した川と湿地帯が合流する地点に位置する。
南のラストブルン、北の森林・山岳地帯を結ぶ交通路の要衝であり、
湿地帯を横断せずに済む 数少ない安全な都市拠点 である。
地形:
・周囲は低湿地と緩やかな丘陵
・川は分流され、農業用水として張り巡らされている
・洪水対策として人工的な盛土の上に街が築かれている
気候:
温暖湿潤。霧が出ることはあるが、
南の荒廃地帯に比べれば安定しており、農耕に適した気候。
文化
フェルディナの文化は、
北方的な土地感覚と、南方的な統治文化が混ざり合ったものである。
地元民は土地と水を重んじ、
「水を管理する者が、この地を治める」という意識が強い。
一方、行政・法律・契約の面では、
ピアーレ家が持ち込んだ南方由来の制度が色濃く反映されており、
帳簿、印章、契約文書が都市生活の基盤となっている。
祭礼は派手ではないが、収穫祭と水路開きは重要な年中行事である。
歴史
フェルディナは、もともと乾いた土地だった。
しかし、グリムデールの災厄後、
地形が変わった影響か、地下水が湧き出すようになり、湿地帯となっていった。
その後は長らく小規模な農村と湿地集落が点在する地域であった。
南部が荒廃し、多くの人々が北へ流入する中で注目されたのが、この地である。
ピアーレ家は比較的早い段階でこの地に拠点を築き、
干拓・治水・農地整理を段階的に進め、
現在のフェルディナを 地方支配の中核都市 へと育て上げた。
軍事的防衛よりも、
「飢えさせない」「物流を止めない」ことが優先されてきた都市である。
街区構成



城館区
フェルディナの中央やや高所、かつての自然堤防を削って築かれた低丘の上に位置する。
- ピアーレ家の居城は「城」というより**要塞化した館城(城館)**に近い。
- 石造だが過度に巨大ではなく、湿地の地盤を考慮した横に広い構造。
- 周囲には古い石塀と濠(湿地水を引き込んだ浅い水路)がある。
- 城館内には
- 領主評議の間
- ヴァンデーゲン辺境伯の勅命を保管する文書庫
- ハイローニアス神殿と連携する小礼拝堂
が存在する。
城館区は「支配の象徴」ではあるが、軍事色は控えめで、あくまで統治と調整の場。
市場・倉庫区
城館区の南側、比較的乾いた地盤を選んで発展した実務の中心。
- 定期市が立つ広場を中心に、
- 穀物倉
- 乾燥肉・塩蔵庫
- 泥炭・薪の集積所
が並ぶ。
- グリューネフェルト各地の農村からの荷は、ここで集積・再配分される。
- 建物は木骨土壁が主で、石は基礎と倉庫の下部に限定。
- 湿地産の作物(根菜・水草加工品)と、丘陵側の麦・豆類が交差するため、
物流の調整役=フェルディナの生命線。
この区画は常に人が多く、よそ者・巡礼・商人も混じるため、噂と情報が集まりやすい。
聖域(神殿群)
市場区の東側、やや静かな場所に形成された宗教複合区画。
- ハイローニアス神殿
- 石造で最も堅牢。
- 農地防衛・治安維持の精神的支柱。
- ペイロア寺院
- 木造主体、豊穣と回復を司る。
- 農民・移住者に信者が多い。
- 聖カスバート教会
- 小規模だが規律を重んじ、契約や裁定に関与。
- 近年、街の西側から流入したアローナ信仰は、
ここではまだ「正式な神殿」を持たず、
野外祭壇や小祠の形で存在している。
神殿同士は表向き協調的だが、水面下では価値観の違いがにじみ始めている。
湿地縁の貧民・移住者区
都市の北西~西側、湿地と市街の境目に自然発生的に広がった地区。
地盤は悪く、
- 杭打ちの上に建つ家
- 半浮き構造
- 季節ごとに移設される小屋
が混在する。
グリューネフェルトの森林化以降に移住してきた人々、
アローナ信仰者、土地を失った農民が多い。
公式には市街地に含まれるが、
税や治安の管理は緩く、灰色地帯。
湿地の知識(採集・舟運・薬草)を持つ者が多く、
都市にとっては厄介だが不可欠な存在。
ピアーレ家は弾圧を避けつつ、
「いずれ整理すべき場所」として注視している。
統治者
領主家:ピアーレ家
ピアーレ家は南方系の家系であり、
血統よりも 実務能力と成果 を重んじる家風を持つ。
フェルディナは、
・治水
・農業生産
・穀物備蓄
・流通管理
これらを通じて周辺地域に影響力を持つ。
領主は「戦う貴族」ではなく、
「管理する貴族」であり、
騎士団・修道会とは協力関係にあるが、依存はしない。
宗教
ハイローニアス信仰:
公的には尊重され、戦士・守備兵の精神的支柱。
聖カスバート信仰:
契約・秩序・法の守護者として、
行政・商取引の場で影響力を持つ。
ネルル信仰:
公には否定されるが、
湿地の外れや農村部では密かに残存。
宗教対立は表面化していないが、価値観の緊張 は常に存在する。
ハイローニアス修道会の力より、聖カスバート教会の力を借りて復興している土地だからである。

