ポルト・ヴィエロ

Porto Viero

ポルト・ヴィエロの雰囲気・景観

ポルト・ヴィエロの空気は、常に色と音と匂いで満ちている。

昼の市場では、
果物の甘い香り、香辛料の刺激臭、砂埃、湿った川風が渦を巻き、
露店には南洋布、魔導薬、水晶、乾燥肉、砂漠香料が無秩序に並ぶ。
ディング人、砂漠民、南洋混血、ノーム、ハーフオークまで混じり、
異国語が飛び交い、喧騒は絶えない。

夕刻になると、
河口に差し込む夕陽が赤橙に輝き、
橋に刻まれた魔法文字が青白く光り出す。
船大工の槌音、値切り交渉の怒号、
キャラバンの鈴音が重なって、
街全体が「夜の商談の時間」へと移り変わる。

夜のポルト・ヴィエロは妖しい魅力を帯びる。
魔導灯が通りを照らし、
川と海の境目が黒い鏡のように揺れ、
路地裏では密輸商や闇取引がひそかに動き出す。

公式の市と闇市が同時に繁栄する、
ディング半島でもっとも雑多で活気に満ちた都市である。

地理・環境

ポルト・ヴィエロはディング半島西岸、
大河が外洋へと流れ出す河口に築かれた大港都市である。
河川と海流が混じり合うこの地は、
淡水と海水がつくる独特の色の境目が常に揺らめき、
波と川風、砂漠風が入り乱れる活気に満ちている。

街は川沿いの三角州に広がり、
河川港、造船区、香辛料市場、異国商館、砂漠民のキャラバン基地という
まったく異なる文化圏が密接に隣り合っている。
河口付近は湿地帯が多く、河岸にはマングローブに似た樹々が生え、
夜になると昆虫や水辺生物の声が港に響く。

対岸へ渡る大橋には魔法文字が刻まれ、
夜には青白い光を放って河面に幻想的な輝きを描く。
街の背後には乾燥した荒野が広がり、
さらに南東へ進むとサローム砂漠へと続く道が伸びている。

成り立ち・歴史

ポルト・ヴィエロ(古き港)は、もともと砂漠商隊と海上交易を結ぶ補給地として誕生した。
ピエルニア王国からディング半島にやってきた最初の人々はこの地を港としていたが、
半島北部でサハギンとの戦争が発生したことにより、孤立の憂き目にあった時代がある。
その後再び交易が再開されたが、その間に南部、群島部とのつながりが強くなったことにより、
ピエルニア文化の影響は後退した。

大河の水量は豊富で、海洋を渡る船とキャラバンが自然に集まり、
やがて代理商人、香辛料商、船大工、鑑定士、魔術師が居ついて都市へ成長した。

ディング王国支配の後も、
王権・商人・砂漠民の三勢力が複雑に絡み合うため、
街は常に多極化した政治構造を保ち続けた。

密輸活動が盛んだった時期もあり、
魔導薬や貴重な香料、砂漠王国の秘匿品が
この街を経由して半島全域へ流通することも珍しくなかった。

今日では、
「半島の喉元」と呼ばれるほど物流の中心となり、
ありとあらゆる文化・物品・情報が最初に集まる都市として知られる。

文化

交易文化の中心
あらゆる商人が集まり、
価値観・価格・信仰・言語が混在する独自の世界を形成する。
交渉術、鑑定眼、情報取引が生活の基盤となる。

食文化
砂漠と海の影響が濃く、刺激と甘味が共存する料理が多い。
・香辛料を効かせた魚介スープ
・果物酒と薬草を混ぜた甘い飲料
・砂漠香草の串焼き
・川魚の香草焼き
屋台文化が盛んで、昼夜問わず食の匂いが絶えない。

工芸
・河川舟と海船の両方を建造する複合造船技術
・砂漠民伝来の織物
・ノームによる魔石鑑定
・薬草・香料加工
工芸のルーツが多様なため独特の技法が成立している。

市民気質
実利的で、率直で、警戒心が強いが、
気に入った相手には驚くほど寛容。
「ポルト・ヴィエロでは、誰もが旅人であり、誰もが商人」と言われる。

宗教

ポルト・ヴィエロでは、
宗教は商業と密接に結びついている。

海の神プロカンと同時期にピエルニア王国から流入したトライセリオン信仰が深く根付き、
自由と解放を重んじる空気がこの都市のディング人全体にある。

そのため、このポルトヴィエロから南は極めて多数の宗教への寛容さを見せる。

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