カーボ・レオン

Cabo Leon
常に音と色が溢れる“享楽の光庭”
カーボ・レオンの雰囲気・景観
カーボ・レオンには、常に緊張感が漂っている。
昼間の港は鉛色の空の下、
巨大な波が防潮壁にぶつかって砕け散り、
修繕工の槌音と号令の声が混ざり合う。
海は黒く、風は鋭い刃のように肌を刺す。
夕刻になると、嵐の気配を帯びた雲が湧き上がり、
海面がざわつき、
防潮壁の上に設置された狼煙台に火が灯される。
兵士たちは沈黙し、不穏な空気が一帯を支配する。
夜の港は霧が深く、視界はきわめて悪い。
霧の中でランタンの光が橙色ににじみ、
どこからともなく、海底で軋むような音が聞こえる。
街の者たちは、それが何かを知っているが、
誰も口にしない。
街を歩く人影は少なく、
主に兵士、水夫、修繕工、大工のみ。
彼らの表情には疲労と警戒が滲み、
この地の過酷さを物語っている。
地理・環境
カーボ・レオンはディング半島の北端やや西寄り、荒れ狂う外洋に突き出した険しい岬に築かれた軍港都市である。
海岸線は断崖と黒い岩壁が続き、白波は絶えず砕け散り、海霧と潮の飛沫が街を薄い塩膜で包む。
気候は半島の中でももっとも過酷で、曇天、強風、高波が当たり前のように押し寄せる。
港は巨大な防潮壁と鋼鉄の鎖で守られており、
波の衝撃を受けるたびに重い振動が地面に響く。
防潮壁の外側は黒々とした深海で、
ディング王国とサハギン勢力の最前線でもある。
街路は岩盤を削って作られているため細く曲がりくねり、
建物は風に耐えるため背が低く、窓も小さい。
背後の丘には砦と監視塔が点在し、
常に槍を携えた兵士が海を見張っている。
荒々しい環境ゆえに植物は少ないが、
潮風に強い低木や岩陰にしがみつくように咲く薄紫の花が、街にわずかな彩りを与えている。
成り立ち・歴史
カーボ・レオンは、サハギンとの戦争が激しさを増していた時代、
ディング王国が南方防衛線として建設した軍港である。
外洋に面した立地は危険と隣り合わせだが、
その分、敵の侵入を早期に察知でき、
海軍の出撃拠点として非常に優れていた。
建設当初は小規模な砦であったが、
海獣による襲撃、サハギンの潜行部隊、
さらには嵐による損壊が絶えず繰り返され、
修繕と増築が行われ続け、
現在の「要塞都市」と呼べる規模にまで発展した。
歴代の提督たちは海軍の精鋭を育て上げ、
カーボ・レオンは王国海軍の象徴となる。
街そのものが軍事機能に特化しており、
商業や観光はほとんど存在しない。
文化

カーボ・レオンの文化は、
「任務」「団結」「生存」の三つに集約される。
● 軍事文化
・階級と規律が絶対
・武器の整備、船具の点検が日課
・食事、睡眠、訓練のリズムが厳格
街全体が海軍施設の延長であり、軍人中心の社会である。
また、水上・水中戦闘の技術を
● 衣装と生活
・厚手の防風外套
・塩で白くなった革鎧
・金属補強された槍や鉤縄
・薄い金属で作った鎧
生活は質素で、酒場も軍人向けの粗野なものばかり。
ただし、海難で生き残った者が語る怪談や海の伝承は多く、
兵舎で語られる「海底の光」の話は、とくに有名である。
● 食文化
嵐に備えて保存食が中心。
・干し肉
・固い黒パン
・塩漬け魚
・濃い酒
時折、前線から戻った船が新鮮な魚介をもたらすことがあり、
その日は街全体がささやかな祝祭のような雰囲気になる。
● 気質
街の者は無口で実務的。
生と死が常に近い場所のため、仲間意識は強く、
「カーボ・レオンの者は仲間を見捨てない」と言われる。
宗教
宗教
カーボ・レオンの信仰は、
繁栄や祝福を求めるものではなく、
「生存と海難除け」が中心となる。
● 怒涛のプロカン神殿
マリナールのプロカンとは対照的に、
ここでは「荒海」「嵐」「怒り」を象徴する側面が重視される。
神殿には船の残骸で作られた祭壇があり、航海前には必ず加護を祈る。
また、プロカンの戦う僧侶たちが常に戦闘準備を整えている。
● 亡者の灯火の祠
海で命を落とした者の魂が、
夜の霧を通じて帰るとされる小祠。
兵士たちは戦友のために灯火を捧げ、
静かに祈りを捧げる。
● 海獣退けの石碑
港の入口に立つ巨大な石碑で、
勇者レオンが海獣を撃退した伝承に基づく。
街の象徴であり、
帰還した兵士がまず目にする「無事のしるし」とされる。

