モーデェンフェン

Mordenfen



モーデンフェンの雰囲気
迷いと霧の風景
一日を通して霧が立ち込め、道なき道が無数に分岐する。地面はぬかるみ、植物は巨大で湿り気に満ちている。
視界は10メートル先も危うく、音も濡れた苔や水の滴る音に吸い込まれていく。
ボロボロの布が目的を失って垂れ下がり、泥に汚れている。
異様な静けさと不気味さ
モーデンフェン周辺の沼地は、夜になると静寂に支配される。ときおり水面を叩く音や、正体不明の鳴き声が闇の中から聞こえる。
におい
どこもかび臭い。何のにおいかわからないが、突然甘い香りがしたり、薬草特有の鼻をつく香りが漂ってくる通りもある。
地理・環境
ヴェルトニアとカスペルの間に位置し、沼沢地と密林に囲まれた街。一部は沼地に橋を渡してその上に建物を立てている。
街路が複雑であり、しばしば旅人が迷い込み、また行方不明になることでも知られている。
高湿度で霧が多い。沼地特有の湿気と森からの冷たい風が交差し、幻想的ながらも少し陰鬱な雰囲気を作り出している。
採取と狩猟:
森と沼地からの資源採取が主な経済活動。特に薬草や特殊な植物、沼地で採れる珍しい魚類などが重要な産物とされている。
治安の維持と冒険者たちの拠点:
治安が悪いことから、地域特有の問題を解決するために盗賊ギルドが介入する。
実質、街を支配しているのは盗賊のギルドで、様々な闇取引を牛耳っている。
南方の『辺境の深遠』に向かう冒険者たちの拠点としての一面も持っており、その区画は多少治安が守られている面がある。
冒険者たちの宿屋《ランタンの窓》

種別: 宿屋兼酒場
場所: モーデンフェン旧市街、水路に近い石造りの倉庫跡地を改装
建材: 焼き焦げた梁と湿った石壁、床は踏み固められた泥と藁で、ところどころに木の板を敷いている
■ 成り立ち・歴史
《ランタンの窓》は元々、モーデンフェンが街となる前に倉庫だった建物を改築して生まれた宿屋で、
商隊や川沿いの船乗りたちが短期滞在するための仮宿として使われていた。
後に治安が悪化し、傭兵や冒険者が増えたことで、半ば無法者向けの酒場兼宿へと転用。現在の女将「ハルカ・コールグラス」が切り盛りしている。
■ 建物・内装
一階: 酒場兼食堂(粗い木のテーブル、酒樽から直接注ぐスタイル)、中央に暖炉、ランタンの光がほのかに揺れる
二階: 寝台部屋(毛布つき共有ベッド10台、個室2室)、壁には武器を掛けられるフックが並ぶ
裏庭: 小さな馬屋と、住人専用の焚き火スペースあり
■ 宿の特色
料金目安:
一泊:6cp(共有)~2sp(個室)/酒代別
食事:
黒パン、塩漬け肉、黒いスープ(鯉+山菜+黒胡椒)、泥臭い赤酒が名物
噂板:
壁に「クエスト依頼」「失踪者情報」などの紙片が所狭しと貼られている
※武器持ち込みは黙認されるが、店内乱闘は2回目で出禁となる規則あり。
隠れ家としての利用:
法を逃れたい者たちにとって、迷路のような地形は理想的な隠れ場所を提供する。そのため、多くのアウトローがこの地を利用している。
魔法研究の秘密基地:
沼地や森の特異な生態系は研究者たちにとって興味深い研究材料を提供し、一部のウィザードやアルケミストはモーデンフェンを秘密の研究施設として使用している。
『ネズミの巣』
モーデンフェンの中でも最も古くから存在するエリア。

古い石造りの塔(詳細不明)の周りに、建物が無秩序に密集している地域が『ネズミの巣』。
最も入り組んだ路地になっており、通路は人一人がようやく通れるほどの幅しかない場所も多い。ここに逃げ込めば盗賊ギルドでさえ探すのは困難。
儀式と伝承の地:
地元の民間伝承や古い信仰が色濃く残っており、特定の時期には古代の儀式が密かに行われることがある。
麻薬・毒物:
モーディン蒸気をはじめ様々な麻薬が流通している他、毒物に関しても広く取り扱われている。
中毒者たちが集まる『天国への路』
モーディン蒸気の末期中毒者たちが集まっている通りがある。
成り立ちと歴史
古代の湿原信仰の地
モーデンフェンの南の沼地は、古くから“霧の母”と呼ばれる大地の精霊信仰の地とされてきた。
森と水の境界に生きる古代テライナの部族は、この地を「霧に包まれし聖域」と呼び、外界との接触を拒んだ。
いくつかの石柱群や朽ちた環状の祭壇が、今も湿原の奥に残されている。
アストランド王国との関係
中央からの開拓政策が進められる中でも、モーデンフェンはその複雑な地形ゆえに支配の手が届きづらく、しばしば反乱者や密貿易の隠れ家となった。
アリアム子爵の軍勢による掃討作戦が幾度となく行われたが、沼地に詳しい現地勢力により成功率は低い。
現代における立場
密輸・逃亡者・儀式・傭兵の拠点として、依然としてアストランド南部の治安にとっての“盲点”であり続けている。
一方、薬草や珍しい魔物が生息することから、冒険者や魔術師にとっては危険だが魅力的な未開の地として知られている。
人口構成
傭兵・冒険者・船員・交易従事者層
河船の水夫、護衛傭兵、港湾荷運び人、密輸の手引き、沼地探検者など、実務を担う労働者たち。
日雇いや宿場暮らしが多く、冒険者との接点も多い。湿地に慣れた“地の利”を持つ者も多く、密輸や斥候の依頼を請け負うことも。
『辺境の深遠』に挑むものたち、かつて挑んだ中で比較的成功を治めた者たちは、冒険者向けの酒場や商店を営んでいる。
ミーズリングの"スキッパーズ"も多く住んでいる。
貴族・有力商人層
人口比率はごくわずかであるが、街の旧家や新興商人の家系。
かつてのギルド戦争で台頭した者も多く、他都市との縁戚関係を結んでいる場合もある。
学者・薬師・秘術関係者層
毒草学者、遺物研究家、異端的な秘術探求者などがこっそり住み着く。ノームの中でも異端者が特に、この街を好んで住み着いている。
かつての古代遺構「水面下の祭殿」や地下迷宮の研究を行う小グループも存在し、教会から睨まれることもある。
異邦人・混血民層(湿地の民)
テライナ人の血を引く者、外地から流れ着いた者、森の民との混血、船上生活を続けていたラクエナなど、主流文化から外れた住民たち。
また、ケンクや人間に育てられたハーフオークが居住できる数少ない街でもある。
港湾区や河辺の粗末な住居に多く暮らし、共同体意識が強い。日雇いや運び屋として重宝されるが、偏見も根強い。
教会関係者
ペイロアの小神殿と、聖カスバートの異端監視団の出先機関を含む。
ペイロア派は小さく、主導権は持たない。
聖カスバートの教会組織は世俗と距離を置いており、貧民救済よりも監視と秩序維持を重視している。
下層民・浮浪者層
沼地から流れ着いた流民、船を失った舟人、職をなくした職人崩れ、冒険を引退した冒険者崩れなど。
夜は廃屋や水上小屋、桟橋下で暮らす者も多い。犯罪組織の下働きやスパイとして利用されることもあり、時に暴動の火種ともなる。
文化
流れ者と“沼の縁者”の文化
古い時代からモーデンフェンに住む者は、国に属さない“境界の民”だった。
定住者よりも、傭兵、薬草採集者、儀式信仰者、刺青師、鍛冶職人、そして裏社会の仲買人が多い。どこか異国風な訛りや身なりをしている者もおり、さながら「沈んだ都の民」とも呼ばれる。
取引と“信”に基づいた社会
金ではなく「信」と呼ばれる口約束と相互の評判によって成り立つ経済圏がある。裏切り者は霧の中に消され、二度と市場には現れないという。
刺青と装飾の文化
霧を通す肌としての象徴として、刺青や身体装飾が重要視される。セームの刺青師レオ・サンブルードも、この文化の影響を強く受けている。
宗教
古代の“霧の母”信仰の残滓
森と水の狭間に宿る精霊を信仰する古代信仰は、未だに秘密裏に継承されている。精霊は女性的な存在で、「霧を纏う慈母」や「泥の胎内」として表現されることもある。
多神教的な信仰の混在
ペイロアや聖カスバートの信仰が時折持ち込まれるが、いずれも形骸化している。一部では、堕落したクレリックがモーデンフェンで独自の戒律を説いているという噂もある。
ネルルやヴィー・ジャスの信徒も多く潜んでいる。

