アストランドにおける人間(ヒューマン)

アストランド人

広義のアストランド人はピエルニア王国から入植してきたアストランド人(白人種)、テライナ人(褐色肌の人種)、森の民(少数民族)、自由都市シーブルを通じて交流があるディング王国の南洋民など、それぞれの混血した人種を含む。

ピエルニア王国から入植してきたアストランド人

新天地を求めて西の大陸にあるピエルニア王国から渡ってきた人々がこのアストランド人種である。
アストランド北部では「純アストランド人」と自称する人々もいる。

外見
肌の色:ほぼ白、わずかに黄がかったり赤みがかったりする程度
髪の色:金~茶、赤。黒もわずかながら存在する
瞳の色:青、灰色~茶など薄めの色が多いが黒に見える濃い茶色も存在する

亜人種に対する差別的な傾向:
特に王国北部で大半を占める純血のアストランド人は、
他の人種や亜人種に対してやや差別的な態度を取ることが多く、
その文化や生活様式に対して理解を示さない傾向がある。
純血のアストランド人は森の民を『フォレス・チー(森の野蛮人)』と呼ぶことが多い。

その性質から、アストランド王国が拡大するにつれて、
少数民族や亜人種たちの生活圏が縮小し、その文化を圧迫する場面が増えてきた。
特に、エルフやドワーフなどの亜人種に対しては、偏見や不信感が根強く残っている。

一方、王国南部では差別的な傾向は北部ほどなく、テライナ人との混血が自然に起こっている。
純アストランド人は聖カスバートを信仰することが多く、復活の日を待つため埋葬は土葬とされる。
公的な場で遺体を火葬するのは邪悪な人物などに限られている。

テライナ人

元から大陸にいたのがテライナ人である。
かつては石の加工に関して、ドワーフも感心するほどの見事な建造物を作った歴史がある。

外見
肌の色:褐色
髪の色:黒~茶。硬くてやや縮れ気味
瞳の色:黒~茶。黒が多い

亜人種に対する寛容性:
テライナ人は、他の人種や亜人種に対して非常に寛容であり、
はるか昔から他の人種や亜人種と友好的な関係を築いてきた。
少数民族である森の民とも非常に友好的で、混血も古くから起きている。
テライナ人は森の民を「アラナ(古くから親しい人)」と呼んでいる。

彼らは亜人種の文化や技術を尊重し、共存することを大切にしている。
テライナ人と亜人種は、互いに影響を受けながら独自の文化を発展させてきた。

混血と文化の融合:
アストランド人がテライナ人の領域に流入した後、テライナ人の多くはアストランド人と混血し、
その結果、純粋なテライナ文化は徐々に姿を消していった。
現在、純粋なテライナ文化を維持しているのは、サンア湖南岸のボートピープル「ラクエナ」のみとなっている。
ラクエナはテライナ人の古い伝統を守り続けており、その生活様式や信仰は他の地域とは一線を画している。

昔のテライナ人は火葬を行っていたが、
現在ではラクエナなどの一部をのぞき土葬を行うようになっている。

ラクエナの反乱(A.D.183)


背景:
テライナ人の一部、ラクエナがアストランド人との混血に抵抗し、古代の伝統を守ろうとする動きが強まった。
特に、サンア湖のラクエナはその中核となり、彼らの生活スタイルを守るためにアストランドに反発した。

事件:
リベール辺境伯がラクエナの集落に対して税の徴収など統治を強化しようとした際、ラクエナは反乱を起こした。
が、ラクエナがリベール辺境伯領において果たしている役割を鑑みて比較的平和な解決がなされ、
反乱は平和的に解散された、ということになっている。

森の民(フォレス・チー、アラナ)

アストランドの少数民族。
純血の森の民はアストランド王国の領土と関りを持たず、森の中や近辺で自然に近い生活を守っている。

森の民は神ではなく自然を信仰する。
例外として、自然の神オーバド・ハイを信仰する者もいる。

外見
肌の色:白い、稀にわずかに黄がかったり赤みがかったりする
髪の色:黒、銀、赤
瞳の色:緑がかった青~薄い茶色、稀に紫や赤色の子が生まれる。

部族と文化の減少:
少数部族である森の民は、
アストランド王国の領域内で「太陽の子達」と「月の子達」という二つの部族に分かれている。
しかし、アストランド人の拡大に伴い、純粋な森の民の数は減少の一途をたどっている。

森の民はほとんど衣服を身に着けず、身体に紋様を描き、刺青を入れる文化を持つ。
彼らの文化や伝統は次第に失われつつあり、純粋な森の民を見かけることは少なくなってきている。

太陽の子達と月の子達:
森の民は「太陽の子達」と「月の子達」という二つの主要な部族に分かれており、
それぞれ独自の信仰や生活様式を持っている。

太陽の子達は、太陽を象徴とした活発で外向的な文化を持つ一方、
月の子達は、月を象徴とした内向的で神秘的な文化を大切にしている。
しかし、アストランド王国の影響により、これらの文化はどちらも衰退しつつある。

森の民の埋葬は土葬で、そこに樹の苗を植える。

生命の輪の儀式 (The Ritual of the Life Circle)
概要: 森の民の輪廻転生と生命の連続性を象徴する儀式で、特に死者を弔う際に行われる。
亡くなった者の魂が新たな生命へと転生することを願う。

ソーサラーとドルイド
アストランド王国の領内で、学ばずして生まれながら魔法を使えるソーサラーになるのは森の民の血統だけである。
これは森の民の血に竜が混ざっているからとも言われている。
ドルイドの文化が伝わっているのも、森の民の血統だけである。

森の民とアストランド人

エルダリス(古き森)

アーレン辺境伯領東~ヴァンデーゲン伯爵領東~リベール辺境伯領にかけてを存在する広大な森を、
森の民はエルダリス(古き森)と呼んでいた。
この地域は、アストランド人の流入以前から長い間、豊かな自然と共生する人々によって守られてきた。

エルダリスには、古代の遺跡や伝統的な儀式の跡が数多く残っており、テライナ人と森の民が育んだ文化と歴史が深く刻まれてる。
アストランド人がエルダリスに足を踏み入れ、地域を発展させていったことで風景と文化が大きく変わった。

『この地に残り続けて伝統を失うのか、この地を離れて伝統を守るのか。』
特に、森の民はポ=ゴメイの遺跡からは離れてはいけない、と言われていた。
その理由は伝承の中で失われ、ポ=ゴメイから「持ち帰ってはいけない」だった伝承が、「立ち入ってはいけない」に変化し、
結果、多くの森の民たちはエルダリスを後にすることになった。

エルダシン(共生の森)

アストランド人と共生を選んだ人々が築き上げた村々をエルダシンと呼ぶ。
アーレン辺境伯領にある交易都市エンゾとその周辺地域、
リベール辺境伯領にあるティフ村、メンデ村、アイラ村は、その代表的な村として知られている。

エルダシンという名称は「共生」を意味し、共生を選んだ人々にとっては誇り高き呼称となっている。
彼らは互いの文化や価値観を尊重し、共に豊かな未来を築くことを目指している。
しかし、「エルイデリサ」に移住した純血主義の森の民にとっては、
この名称は侮蔑的な意味合いを持ち、彼らの間ではエルダシンに対する敵対心が根強く残っている。

エルイデリサ(純粋の森)

エルイデリサは、かつてエルダリスに住んでいた森の民の中で、純血を重んじる者たちが新たに築いた集落。
彼らは、アストランド人や他の民族との混血を拒み、森の民の伝統と血統を守ることを最優先としている。

アーレン辺境伯領に残る『ラヒ』も太陽の子達のエルイデリサである。

月の子達のエルイデリサは現在、どこにあるかはわかっていない。
エルダリスから遠く離れた場所にあり、外界との接触を最小限に抑えながら、自らの信仰と生活様式を厳格に守り続けている。
この集落では、純粋さが何よりも重要視されており、エルダシンのような共生の選択を軽蔑する風潮が強い。
しかし、そのために近親婚や人口減少などの問題も抱えており、閉鎖的な社会の中で新たな課題に直面している。

森の民に関連するこの三つの地域は、アストランド南部における複雑な文化的、社会的な関係を象徴しており、
それぞれが異なる価値観と選択の結果を表している。

森の民(太陽の子達)の文化

『太陽の子達』の中でも純血を維持する部族は現在でもアーレン辺境伯領の『ラヒ』と呼ばれる森深くに住んでおり、
何らかの、少なくともアストランドの神々とは異なる大いなる存在との取引をおこない森を守っていると言われている。
火による浄化という点はペイロア信仰と相容れ、アーレン辺境伯領には森の民との交易都市エンゾが存在した。

大地の再生の儀式
概要:
収穫期の終わりに行われる儀式で、大地への感謝と来年の豊作を祈願する。
この儀式は、地面に種を植える儀式と、古い作物の残骸を焼く浄化の儀式を含んでいる。

種まきの儀式:
長老たちが特別に用意された種を地面に植え、シャーマンがその種に祝福を与える。

火の浄化:
収穫が終わった畑で、古い作物の残骸を燃やす儀式が行われる。
この火は新しい生命を迎えるための浄化を象徴している。

土の祝福: 最後に、村全体が集まり、シャーマンが大地に感謝の祈りを捧げる。
これは、来年の豊作と村の繁栄を願うものである。

森の民(月の子達)の文化


新月の誓い (The New Moon Oath)
概要: 新月の夜に行われる神秘的な儀式で、新たな誓いを立てることが目的である。
これは特に成人の儀式として行われ、若者が森の民の一員としての誓いを立てる重要な行事となっている。

ディング人

アストランド王国内には、シーブルを通じてディング王国に血縁を持つ人物もいる。
広義のディング人は白きディングと黒きディング両方を含む。

白きディング・・・航海系アストランド人の分派(少数派・支配層)
アストランド人と近縁の「外洋移民」の末裔。王家・貴族・高位商人に多い。

外見
肌:オリーブ~浅褐色、日焼けに強い
髪:黒髪~濃い茶
瞳:濃茶~琥珀

文化的特徴:
星読み・航海術を誇りとする。
王家中心の強い中央集権を支持。

「自分たちはアストランドの“劣等親族”ではない、独自に神に選ばれた海の民だ」という誇りを持つ
人数:国内では少数派(人口比では2割程度)。ただし政治・軍事・経済の実権を握る。

黒きディング・・・南洋の先住民との混血(多数派・庶民層)
ディングの港町・農村・外縁島嶼に住む多数派。

外見
肌:褐色~黒褐色
髪:縮れ毛~波打つ黒髪
瞳:黒または赤みを帯びた濃茶

文化的特徴:
装飾的な入墨や鮮やかな布衣装を愛用。

重要な附則:それぞれの人種の血の濃さの影響

アストランド人、テライナ人、森の民の血の濃さが影響する部分

神秘的な能力や魔法の伝承

血統に基づく魔法の才能:
特定の魔法や精霊との接触能力は、血統によって強化される可能性がある。
森の民の血が濃い者は、自然魔法や精霊術に強い才能を持つことが考えられ、
アストランド人の血が濃い者は、王国の公式な魔法体系に触れる機会が多いかもしれない。

呪いと予言:
古い予言や呪いが、特定の血統に基づいて発動することがある。
たとえば、『血の王の呪い』がテライナ人のみに影響を与えるかもしれないし、
森の民の血が濃い者が特定の儀式を行うときにのみ発動する古代の魔法が存在するかもしれない。

社会的地位や権利の制約

職業選択の制限:
アストランド人の血が濃い者は、政府や軍、教会などの公的な職業に就きやすいが、
テライナ人や森の民の血が濃い者はこれらの職業に就くことが難しい場合がある。
特にアストランド北部で高位の職に就くためには、純粋なアストランド人の血が必要とされることがある。

土地の所有権:
アストランド人の血が濃い者に有利な土地の所有権が存在する可能性があります。
特に、テライナ人や森の民の血が濃い者は、アストランド王国の法律によって土地を所有する権利が制限されるかもしれない。

宗教的信仰と儀式

宗教の受容度:
アストランド人の血が濃い者は聖カスバートやペイロアの信仰を深く持つことが期待され、
森の民の血が濃い者は自然崇拝や精霊信仰に惹かれる傾向が強い。
これにより、信仰の違いがコミュニティ内での対立や分断を生むことがある。

儀式参加の制限:
特定の儀式には、血統による参加資格が設けられていることが考えられる。
たとえば、アストランド王国の公式な儀式には、テライナ人や森の民の血が濃い者は参加を許されない場合がある。

結婚と家族構成

結婚の制限:
アストランド人とテライナ人、森の民の間での結婚は、特に北部では社会的に許容されない場合があり、
南部でも、貴族や上流階級においては、純粋なアストランド人の血を保つために結婚が制限されることが考えられる。
これにより、結婚相手の選択が狭まり、純血を保つことが求められる可能性がある。

混血の子供の社会的扱い: 混血の子供は、どの文化にも完全に受け入れられない場合がある。
純アストランド人の社会では、純粋なアストランド人の子供と比べて地位や権利が低く見られる可能性があり、
テライナ人や森の民のコミュニティでも完全に受け入れられないことがある。

政治的な陰謀や対立

血統を巡る陰謀:
アストランド王国の中で、血統を巡る陰謀や暗殺事件が起こる可能性がある。
特に、純粋なアストランド人の血を持つ者を狙った陰謀や、逆に森の民の血が濃い者を迫害する動きが考えられる。

血統を証明するための遺物や文書:
血統を証明するための古い文書や遺物が存在し、それを巡る争いが発生するかもしれない。
特に、王位継承や領地の相続に関わる際に、このような証拠が重要な役割を果たすことが考えられる。

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