アイヒェンヴァッハ

Eichenwach
●雰囲気・景観
シエラ辺境伯領東部、広大な森林地帯の入口に位置する林業都市。針葉樹林の生育が盛ん。
さらに東の峡谷へ向かうためには、ほぼ必ずこの街を通ることになるため、木こり、猟師、商人、兵士、冒険者、荷運び人など、多様な人々が行き交う。
街には切り出された丸太、製材用の木材、炭焼き用の薪、樹脂を詰めた樽などが並び、木の香りと煙の匂いが常に漂っている。
街全体は実用性を重んじた造りで、石造の建物に加えて木造建築も多い。
防御施設も同様で、古くからの部分には石造城壁がある一方、拡張された区域や修理頻度の高い場所では木柵が用いられている。
●地理・環境
人口は約2,000~3,000人。
シエラ辺境伯領東部の森林地帯の入口にあり、その先の峡谷へ続く主要街道を押さえている。
街の近くを流れる川は、下流でシエラ・ヴァラおよびカスタリン方面へつながっている。
木材や加工品はこの川を利用して下流へ送ることができる。
ただし、川には急流や高低差のある区間が存在するため、シエラ・ヴァラやカスタリン側から船で遡上してアイヒェンヴァッハへ到達することはできない。
そのため物流は、
下流への輸送は河川、上流への輸送は街道
という明確な構造を持つ。
下流へ木材や森林資源を送り出す一方、食料、塩、金属製品、布、酒などの生活物資は荷車や荷馬によって陸路で運び込まれる。
●街区区分
■ 城館・守備区
街を治めるハーゲンヴァルト家の城館と、守備兵の兵舎が置かれている区域。
森林および峡谷方面へ続く街道の監視、防衛もここから行われる。
■ 木材集積区
森から切り出された丸太を集積する大きな作業区域。
木材を選別し、下流へ流す準備や筏組みも行われる。
■ 製材区
製材所や木工所が集中する区域。
水車などを利用して、丸太を建築材、板材、梁材などへ加工する。
■ 炭焼き・樹脂加工区
木炭、樹脂、松脂などの加工を行う区域。
火災の危険が高いため、市街地中心部からはやや離れている。
■ 市場・宿場区
森や峡谷へ向かう人々が物資を整える場所。
宿屋、酒場、道具屋、食料品店などが集まり、猟師や木こり、冒険者の姿も多い。
■ 一般居住区
林業従事者、職人、商人、兵士の家族などが暮らす区域。
街の拡張にともなって外縁部へ広がっており、一部は木柵の内側に新しく形成されている。
●歴史
アイヒェンヴァッハは、シエラ領東部の森林資源を利用するために設けられた小規模な伐採拠点を起源とする。
森林開拓が進むにつれて木材の集積地、製材拠点、河川輸送の起点として重要性を増していった。
さらに東方の峡谷へ向かう主要街道がこの地を通ることから、軍事上の価値も高まり、次第に城壁を持つ都市へと発展した。
街の統治を任されたハーゲンヴァルト家については、その祖がレディ・シエラとともに戦った戦士の一人だったという伝承が残る。
伝承では、その戦士と一族は東部森林や峡谷方面の戦いで功績を立て、その後この地の守備と管理を任されたとされる。
こうしてハーゲンヴァルト家は、代々アイヒェンヴァッハと東部森林の守りを担う騎士家となった。
●産業・交易
主要産業は、
・伐採
・木材集積
・製材
・樹脂採取、加工
・炭焼き
・狩猟
・毛皮、皮革の取引
・河川輸送
など。
特に木材はシエラ辺境伯領内の重要な建築資材であり、シエラ・ヴァラ、カスタリンへ大量に供給される。
炭や樹脂も、鍛冶、照明、建築、日用品など幅広い用途に使われるため重要な交易品となっている。
また、森から得られる毛皮、薬草、茸、蜂蜜なども市場へ集められる。
峡谷方面へ向かう兵士や冒険者への装備・食料販売も、街の経済の一部を支えている。
●統治と権力構造
アイヒェンヴァッハはシエラ辺境伯家の支配下にあり、実際の統治はハーゲンヴァルト騎士家が担う。
ハーゲンヴァルト家は、街の行政に加えて、
・森林の伐採区域管理
・森林利用権の調整
・街道警備
・峡谷方面の監視
・城壁、木柵の維持
・河川輸送の管理
・森林火災への対応
などを担当する。
一方、木材商人、製材業者、猟師などの組合も大きな影響力を持つ。
特に伐採権、水利、森林利用をめぐる問題では、領主家と各組合の協議が欠かせない。
●宗教
ハイローニアス信仰が中心。
ハーゲンヴァルト家、守備兵、街道警備に関わる者の間で特に強く信仰されている。
一方、林業、狩猟、山野で生活する人々の間では、オーバドハイ信仰や森林に関係する古い民間信仰も比較的強く残っている。
森へ入る前に、小さな祠や古木へ供物を置く習慣も一部に残る。
そのため、シエラ領の中では比較的、
ハイローニアスの騎士文化と、森林民の古い信仰が共存する都市
という性格を持つ。

